2013年6月15日土曜日

江上さんと大牟田

江上茂雄さんは、1912(明治45)年6月18日に山門郡瀬高町吉里に生まれます。

江上さんが生まれ育った瀬高町は、中世以来、矢部川水運交易の拠点となった町で、とくに瀬高上庄・瀬高下庄は薩摩街道の宿駅となり、商業活動が拡大するにつれ集荷地が置かれ、そこに町屋が形成されました。矢部川沿いの各村では酒造業が盛んとなり、紙漉き、瓦焼き、鋳物が行われ、酒造業は今でも数件が営業しています。

江上さんは、12歳で一家の大黒柱であった父親を亡くされたことから、高等小学校を卒業するとすぐに大牟田市の三井三池鉱業所に入社され、7人家族の家計を支えます。以来1972(昭和47)年に同社を定年退職されるまでの45年間、「日曜画家」の時代が続きます。(かじ)



写真は、戦前に大牟田市有明(ゆうめい)町にあった三井三池鉱業所。市民は単に“本社”と呼び、市内電車の停車場名も“本社前”でした。江上さんは同市新地町の社宅からこの“本社”に毎日徒歩で通勤されていたそうです。なお、この建物は空襲で焼失し、戦後は市民会館が建てられました。