江上茂雄 「黄耀」 1964年頃 クレパス 大牟田市海岸埋め立て地付近
なんともふしぎな絵です。
今から50年ほど前の福岡県大牟田市、海岸埋め立て地を描いたというこの絵、一軒の小屋が建っていますが人の気配はなく、やわらかな色と静かな光に包まれています。風景が艶っぽく見えてしまうと言えばおかしいでしょうか? まるで海そのものが発光しているかのようにも見えます。
油絵具とも水彩絵具とも異なる質感はなるほどクレパスだからかと一瞬腑に落ちますが、しかし私たちのよく知っているはずのクレパスでこんな質感が実現できるのかと再び驚くことになるでしょう。
この絵を描いたのが江上茂雄さんです。福岡県瀬高町に生まれ、大牟田の三池炭鉱建築課に勤めながら日曜日毎にクレヨン・クレパス画を描きました。上の絵はその代表作の一枚といえるでしょう。
そして60歳で退職すると熊本県荒尾市に引っ越し、しばらくして水彩画を描きはじめます。しかも毎日1枚というペースで! 家から歩いて出かけては水彩画を1枚完成させて帰って来るという毎日を67歳から30年間も続け、今年101歳を迎えます。今も体調のいい時は自宅で木版画の制作に取り組んでいるとか。
生涯に描いた作品総数は2万枚に及ぶとも言われています。
2010年、福岡市内のスペース「アートスペース・テトラ」で1週間の回顧展が開催されました。限られた期間と点数の小規模な展覧会ではありましたが、その絵を見た人たち、江上茂雄という絵描きを知ることになった人たちの記憶には強く刻まれ、そして2013年の秋、福岡県内3カ所のミュージアムでほぼ同時期に江上茂雄展が開催されることになりました。
このブログではその江上茂雄展に関するさまざまな情報を発信し、江上茂雄さんの絵の魅力をすこしづつ紹介していきたいと思います。
3つの展覧会が終わるまでの期間限定ではありますが、楽しんでもらえれば幸いです。(たけ)
▼展覧会その1 田川市美術館▼
江上茂雄展 ~百一賀、小さな私の毎日~
9月3日(火)~9月16日(月・祝)
9月3日(火)~9月16日(月・祝)
開館時間 9:30-17:30(入館は17:00まで)
休館日 9月9日(月)
観覧料 一般100円(80円)高大生50円(40円)小中生30円(20円)
※( )内は20名以上の団体料金
※毎週土曜日は高校生以下無料
田川市美術館
休館日 9月9日(月)
観覧料 一般100円(80円)高大生50円(40円)小中生30円(20円)
※( )内は20名以上の団体料金
※毎週土曜日は高校生以下無料
田川市美術館
〒825-0016 福岡県田川市新町11-56
Tel 0947-42-6161 Fax
0947-49-3102
▼展覧会その2 大牟田市立三池カルタ・歴史資料館▼
江上茂雄の世界 ~ふるさと大牟田の情景~
10月1日(火)~12月8日(日)
観覧時間 10:00-17:00
休館日 月曜日(ただし10/14,11/4は開館、10/15,11/5が休館)および10/30(木)11/28(木)
観覧料 無料
大牟田市立三池カルタ・歴史資料館
〒836-0861 大牟田市宝坂町2-2-3
Tel/fax
0944-53-8780
▼ 展覧会その3 福岡県立美術館▼
郷土の美術をみる・しる・まなぶ 特別編
江上茂雄 ― 風ノ影、絵ノ奥ノ光
10月5日(土)~11月10日(日)
観覧時間 10:00-18:00(入場は17:30まで)
休館日 月曜日(ただし10/14,11/4は開館、10/15,11/5が休館)
観覧料 一般700円(500円)高大生500円(300円)小中生300円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金
※65歳以上の方は特別割引料金(500円)
※次の方々は無料=身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者手帳の交付を受けている方およびその介助者、教員引率による小・中・高等学校・中等教育学校・特別支援学校の児童生徒およびその教員、土曜日来館の高校生以下の方
天神の美術館 福岡県立美術館
〒810-0001 福岡市中央区天神5丁目2-1(須崎公園内)
Tel 092-715-3551 Fax
092-715-3552
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