クレヨン・水彩絵具・墨、753×566cm |
しかしそのうち、その丸のまわりに描かれた柵の具合から、これが草むらの人工池が描かれた絵だと分かります。それにしてもこの池のなんと静かで、明るいこと。
画面のほとんどを占める翡翠色をした草。そよそよと風になびいているさままでとらえた木目のような質感は、茂雄さんが意図的につくりこんだものなのか、あるいは紙の具合なのかもよく分からず、絵のモチーフとしてはたったひとつのものしか描いていないにも関わらず分からないことだらけで、目の奥に刻み付けられるふしぎな絵です。
いやむしろ本当にこれは月を描いているのかもしれない。
池の水面からあふれるような月の光と、さやかに吹き渡る風とを描いたまったき「風景」画としてあるのかもしれない。(たけ)