2014年8月15日金曜日

「江上茂雄 ふるさと荒尾展」前半終了

8月6日から荒尾総合文化センターで開催されていた「江上茂雄 ふるさと荒尾展」が先日14日に終了しました。

開館日8日間で500人ほどの方に茂雄さんの絵を観ていただくことができたようで、わたしたちもとてもうれしく思っています。

昨日はチーム茂雄(とく、かじ、たけ)も全員集合。「江上さんが街で絵を描いていらっしゃるのをよく見ていた」「あの時のあの人が江上さんなのだと改めて知った」「自宅にうかがって絵をもらったことがある」「描かれている風景のどれもこれもがよく分かる」との地元ならではのホットな反応に、ちょっぴり胸を熱くしました。

わたし(たけ)は作品解説を仰せつかったのですが、いつもながら熱が入る余りのグダグダ1時間トーク。茂雄じいちゃんもそれをみこしてか、トークが始まる直前から大雨が降り、「私は湿りけの多い人間ですから」と言っていたじいちゃんが初盆で帰ってきているんだなあ、と愉快な気持ちでした。

じつは搬入展示の日も雨、1年前の福岡ケンビでの展覧会オープンの日も雨、そして突然の旅に出られたと連絡をもらった日も雨でした。神通力?ハンパないですね。

さて、「江上茂雄 ふるさと荒尾展」はじつはまだ後半戦が残っています。おなじく荒尾の万田炭鉱館にて8月1日から24日まで。出品点数はぐっと絞り込まれますが、絵はまた違った表情を見せてくれるのかもしれません。お近くの方はぜひ足をお運びください。

万田炭鉱館
→ http://www.city.arao.lg.jp/intro/pub/detail.aspx?c_id=16&redi=ON&id=22&pg=1

でもじいちゃん、作品搬入日にはなるべく雨は降らせないでね。(たけ)

熊本日日新聞 8月4日

熊本日日新聞 8月7日

2014年8月3日日曜日

今日の茂雄さん(その8)


今週8月6日から荒尾市総合文化センターで江上茂雄さんの展示会が開催されます(~8/14)。小さな規模ですが、クレパス・クレヨン画、水彩画あわせて30点を出品します。

今回ご紹介するクレパス画は、そのうちの1点。去年の展覧会では3館のどこにも出品されなかったものです。そういう絵を荒尾の展示会ではわずかですが見てもらえます。

とくにこの絵は石炭工場を描いた、茂雄さんの画題には比較的珍しいもの。茂雄さん自身は大牟田の三井三池炭鉱で働きつづけましたが、荒尾も万田坑を抱える土地ですから、なつかしくご覧になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

構図のつくり方、マチエールの豊かさ、荒々しくもどこか牧歌的な雰囲気。とても茂雄さんらしい絵でもあります。

茂雄さんが退職されてから40年住み続けた荒尾の地。初盆ですからふらっと帰ってこられるかもしれませんね。(たけ)


荒尾総合文化センター


荒尾総合文化センターでの展示の後、出品数を減らして万田炭鉱館(荒尾市)でも展示会が開催されます(8/19~8/24)

2014年7月7日月曜日

今日の茂雄さん(その7)

551×728cm、クレヨン、第2回個展(1976)出品

はげしい雨と雷が続きますね。みなさん、どうぞお気を付けください。(たけ)

2014年6月12日木曜日

今日の茂雄さん(その6)

507×683cm、クレヨン

「今日も疲れたなあ」なんて思いながらぼんやり眺めていると、じんわりと染みてきた一枚。

これもまた、なんともふしぎな絵です。

まるで子どもが描いたような素朴な印象。絵肌をあまりつくりこんでいないのもその理由のひとつでしょうが、なによりもこのシンプルな構図が効いています。小高い丘を描く。しかし、なかなかこうは描けないでしょう。

しかしよく見ると、いろんなことが見えてきます。絵肌をつくりこんではいませんが、表情を細やかにつくっています。こすっているところ、線の風合いを残しているところ、そして黄緑の丘と水色の空が接するところがわずかに明るく塗りこめられています。

丘は左右対称の形をしていますが、じつは画面の中で左右対称なのは(意外に思われるかもしれませんが)この丘だけです。画面を横切る線は右下りと左下りで、丘の下方に配された茶色の形とその右下に配された紫と黄色のかたちも画面にアクセントと流れをもたらしています。そして、いつも画面のどこに白を配すべきかを考えていた江上さんらしい、白いシャツを着た人物。

シンプルな構図ながら絵が膠着せず、ゆるやかなリズムが目に心地よく届いてきます。

江上さんがこの絵でやりたかったことが何だったのかはにわかには分かりませんが、しかしこの翳りのない色彩と牧歌的な穏やかさとが観る人の気持ちを慰めてくれることは間違いありません。(たけ)



2014年6月4日水曜日

今日の茂雄さん(その5)

756x554㎝ クレヨン

茂雄さんは大牟田や荒尾のさまざまな風景を描きましたが、それはなにも風光明媚な絵のモチーフを求めてのことではなく、「自分がいる場所」を絵にするためのことでした。ですので、この社宅の部屋の小さなベランダを描いた絵もまた茂雄さんにとってはれっきとした「風景画」といえるのかもしれません。

鉢植え代わりの四角い木の箱にさまざまな植物が植えられています。手前はきっと食事の足しになるようなものでしょう、奥は日々の暮らしの慰みに。茂雄さんはお花が好きな人でした。幾何学的な絵づくりのおもしろさもさることながら、この小さなベランダにしゃがみこんでいる茂雄さんの姿が目に浮かぶようで、私には愛おしい絵の一枚です。

ベゴニアの花の、ナイフでこすりつけたような赤い絵具がすこし暗い青い影の中で映え、揺れ、画家の眼をダイレクトに実感させます。(たけ)

2014年5月29日木曜日

【記事紹介】うれしい記事紹介

展覧会が閉幕して半年、茂雄さんが旅立たれて3か月経った今、有明新報さんが社説で江上茂雄展のことを紹介してくださってます。

展覧会は閉幕してもやっぱり終わらず、茂雄さんは旅立たれたけどやっぱり生きている。

茂雄さんの絵を覚えてくださっているみなさんに、ありがとう。(たけ)

5月12日 有明新報

2014年5月23日金曜日

今日の茂雄さん(その4)

クレヨン・水彩絵具・墨、753×566cm
山口薫が描いた月を思い出すような静謐で清らかで、けれどどこか寂しげな絵。と書いて、「月」というのは言いえて妙だなと自分で思いました。なぜならこの絵を最初見た時、縦位置なのか横位置なのか、どっちが上でどっちが下かもにわかには分からず、ただ中空に丸がぽっかりとうかんでいるだけの絵なのかと戸惑ったのですから。

しかしそのうち、その丸のまわりに描かれた柵の具合から、これが草むらの人工池が描かれた絵だと分かります。それにしてもこの池のなんと静かで、明るいこと。

画面のほとんどを占める翡翠色をした草。そよそよと風になびいているさままでとらえた木目のような質感は、茂雄さんが意図的につくりこんだものなのか、あるいは紙の具合なのかもよく分からず、絵のモチーフとしてはたったひとつのものしか描いていないにも関わらず分からないことだらけで、目の奥に刻み付けられるふしぎな絵です。

いやむしろ本当にこれは月を描いているのかもしれない。

池の水面からあふれるような月の光と、さやかに吹き渡る風とを描いたまったき「風景」画としてあるのかもしれない。(たけ)