お盆ですね。茂雄さん、こっちに立ち寄ってくださっているかしら。
武蔵野市立吉祥寺美術館で開催されていた「江上茂雄:風景日記 diary/dialogue with landscapes」展が終わって1ヶ月経ちました。まだまだ余韻が続いており、売り切れていた展覧会図録が再版されたそうです。
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/2018/05/diarydialogue-with-landscapes.html
そんな中、オンライン版の美術手帖にペインター/グラフィックデザイナーの佐藤直樹さんがすばらしい展覧会レヴューを寄稿されています。ぜひご一読ください。
https://bijutsutecho.com/magazine/review/18207
それを機にして、ツイッターでのつぶやきもまた盛り上がってきたかんじです。たとえば働き方研究家の西村佳哲さんのこのつぶやきから始まる一連のものはグッときます。
https://twitter.com/lwnish/status/1028032803923877888
また、吉祥寺美術館での展覧会でも参照くださっていた江上茂雄さんのインタビュー(全2回)は、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴの取り組みの一環として実現できました。
http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_01.php
http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_02.php
ついつい私も、5年前の展覧会図録を引っぱり出してみました。あの時にしか書けなかったテキストが綴られていました。たしかに私(竹口)が書いたテキストですが、なんだか私以外の誰かが書いたかのようなふしぎな気持ちです。
この図録も会期中に売り切れてしまいました。こちらは再版されることはありません。なので、ここに展覧会の「ごあいさつ」と、私のテキスト「土に着くこと、自己を見つめること、世界に触れること-江上茂雄さんの風景画と向き合いながら」(長い...)だけ、見開きごとに画像でアップすることにします。
この図録には、他にも一緒に展覧会をつくった梶原伸介さん(大牟田市立三池カルタ・歴史資料館館長)と徳永恵太さん(当時、田川市美術館学芸員)のテキストがそれぞれ掲載されていて、さらに茂雄さんの息子であり現代美術作家の江上計太さんのテキストと茂雄さんの唯一の画友である髙田青治さんのテキストが『江上茂雄 作品集』から再録されています。目次だけアップします。
もし「読んでみたい!」と思う方がいらしたら、私(竹口)にメールでリクエストください。メアドはkjtkgch(a)gmail.com ((a)は@に打ち換えてください)です。pfdデータをお送りいたします。
2013年秋、福岡県内3つのミュージアム(田川市美術館9/3-9/16、三池カルタ・歴史資料館10/1-12/8、福岡県立美術館10/5-11/10)で開催される画家 江上茂雄の回顧展。このブログからその色々を紹介、発信します。
2018年8月14日火曜日
2016年2月26日金曜日
勿忘草の忌
![]() |
| 「私の鎮魂花譜」より |
2月26日、茂雄さんが旅立たれて2年が過ぎました。勿忘草の忌、三回忌です。
今日は晴れているので「あれ? 茂雄じいちゃん、心境の変化か?」なんて思ってしまいますが、ともあれ向こうでも変わらず絵を描いていらっしゃるのでしょう。見られないのだけが残念です。
この一年は、広島市現代美術館で《私の鎮魂花譜》が展示され、先日まで熊本市現代美術館で江上茂雄展が開かれるなど、よりたくさんの人に茂雄さんの絵を見てもらう機会を得ることができました。福岡で展覧会を開催してから毎年どこかでこうやって茂雄さんの絵が展示され、色あせず人の心のなかに生かされていくのは本当にうれしく、ちょっぴりふしぎで、でもきっと茂雄さんご本人が一番ふしぎがっていらっしゃるのかもしれませんね。
細々と続けているこのブログも、この1年はほとんど停滞しておりましたが、まあ先は長いですから焦らずともいいでしょう。
下の絵は、熊本市現代美術館での江上茂雄展で久しぶりにたくさんの人に見てもらうことが叶った一枚。まもなくこんな景色が広がる明るい季節が、また巡ってきます。
![]() |
| 《菜の花畑》 |
2016年2月14日日曜日
江上茂雄展が熊本市現代美術館にて
2015年12月5日から2016年2月14日まで熊本市現代美術館(ギャラリーⅢ)にて江上茂雄展が開催されました。初期の水彩画から始まり、30代以降のクレパス・クレヨン画、60代からの水彩画を中心にしながら、《私の鎮魂花譜》や《私の手と心の抄》《大牟田五十景》まで、茂雄さんの多彩な画業を小規模ながら網羅的に紹介する展覧会でした。
熊本はもとより福岡からもたくさんの方が来場くださったようで、とてもうれしく思います。また無料展であったことも功を奏して、老若男女さまざまな人が茂雄さんの絵に共感を寄せてくださり、「路傍の画家」の面目躍如かと。
またいつかどこかで茂雄さんの絵を見てもらえる機会ができることを期待しつつ。
《私の鎮魂花譜》が広島市現代美術館にて
2015年7月18日(土)から9月27日(日)まで広島市現代美術館で開催された「ライフ=ワーク」展にて、茂雄さんの《私の鎮魂花譜》238枚が大きな会場にそっと、鉱物が地中に震えるように展示されました。
http://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/life-work/
2015年6月17日水曜日
茂雄さんのインタビュー公開
2014年の1月、つまり3館による江上茂雄展が終わって数か月後、そして茂雄さんが旅立たれる1ヶ月前、幸運にも茂雄さんに改めてインタビューできる機会を得ることができました。
展覧会を準備している間にもいろいろなお話を聞いたつもりでもこの時初めて聞いたことがあり、それどころか息子さんたちも聞いたことがなかったような話もあり、あるいは前にお聞きした内容とは違うところがあったりと、その意味では実に生々しい1時間半×2日でした。
とくに2回目のインタビューでは茂雄さんもお疲れの様子で、とてもたどたどしいものとなりましたが、そのたどたどしさもなるべくそのままに記録しようと文字にしています。ですのですこし読みにくいかもしれませんが、「それもまた茂雄さんらしい」とお付き合いいただければ幸いです。
http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_01.php
このインタビューは、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴのみなさんからの提案と協力により実現しました。
http://www.oralarthistory.org/
茂雄さんご自身は照れくさがって、「勘弁してください」なんておっしゃるかもしれませんが、茂雄さんの言葉をこういう形でアーカイヴしてもらえたことは、わたしたちにとってとても喜ばしいことですし、誰よりわたしにとっては、改めて茂雄さんと向かい合うことのできるかけがえのない時間をつくってもらえて、心より感謝しています。ありがとうございました。
展覧会を準備している間にもいろいろなお話を聞いたつもりでもこの時初めて聞いたことがあり、それどころか息子さんたちも聞いたことがなかったような話もあり、あるいは前にお聞きした内容とは違うところがあったりと、その意味では実に生々しい1時間半×2日でした。
とくに2回目のインタビューでは茂雄さんもお疲れの様子で、とてもたどたどしいものとなりましたが、そのたどたどしさもなるべくそのままに記録しようと文字にしています。ですのですこし読みにくいかもしれませんが、「それもまた茂雄さんらしい」とお付き合いいただければ幸いです。
http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_01.php
このインタビューは、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴのみなさんからの提案と協力により実現しました。
http://www.oralarthistory.org/
茂雄さんご自身は照れくさがって、「勘弁してください」なんておっしゃるかもしれませんが、茂雄さんの言葉をこういう形でアーカイヴしてもらえたことは、わたしたちにとってとても喜ばしいことですし、誰よりわたしにとっては、改めて茂雄さんと向かい合うことのできるかけがえのない時間をつくってもらえて、心より感謝しています。ありがとうございました。
2015年5月11日月曜日
【2015年夏】展覧会のお知らせ@広島
![]() |
| 「私の鎮魂花譜」より |
すっかりご無沙汰してしまっています。もうすっかり雪も解け、桜も散り、青葉が目にまぶしい季節になりました。
うれしいお知らせがあります。茂雄さんの作品が今年の夏、展覧会にたくさん出品されることになりました。
60歳までのクレパス・クレヨン画の制作のかたわら断続的に描きつづけられてきた「私の鎮魂花譜」シリーズが、広島市現代美術館で開催される展覧会「ライフ=ワーク」に一挙展示されます。
福岡ケンビで開催した江上茂雄展を見に来てくださった担当学芸員のM氏からラブコールをいただき、今回の運びとなりました。
広島市現代美術館では、被爆(戦後)70周年を迎えるにあたって広島の「これまで」と「これから」、そしてなによりも「今」を見つめ直すための3部作が企画されており、「ライフ=ワーク」はその第一部に位置づけられています。茂雄さん以外にも10余名のつくり手たちによる「生の結晶」が紹介されます。
また続報が届けばお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに。
あ、ちなみに現在広島ゲンビで開催されている赤瀬川原平展もとてもおススメの展覧会ですので、お近くの方、来広の予定のある方は足を運んでみてはいかがでしょう。
広島市現代美術館
「ライフ=ワーク」展
2015年2月26日木曜日
勿忘草の忌
2015年1月8日木曜日
今日の茂雄さん(その9)
2014年10月5日日曜日
クレパス画3点が福岡県美に
![]() |
| 「黄耀」1964年ごろ |
茂雄さんのクレパス画3点「線路敷きの夕暮れ」「雪降る」「黄耀」を現在福岡ケンビで開催中の「とっとっと? きおく×キロク=」(~11月24日)に出品しています。
他の出品作と混ざり合いながらも独特の魅力を放つ茂雄さんのクレパス画。一般300円、65歳以上の方は200円とお得価格ですので(笑)お時間の都合がつく方はぜひいらしてください。(たけ)
「福岡県文化会館建設50年記念 とっとっと? きおく×キロク=」
福岡県立美術館
10月4日(土)~11月24日(月休)
→ http://fukuoka-kenbi.jp/exhibition/2014/kenbi2497.html
2014年8月25日月曜日
江上茂雄展、終了しました
2014年8月15日金曜日
「江上茂雄 ふるさと荒尾展」前半終了
8月6日から荒尾総合文化センターで開催されていた「江上茂雄 ふるさと荒尾展」が先日14日に終了しました。
昨日はチーム茂雄(とく、かじ、たけ)も全員集合。「江上さんが街で絵を描いていらっしゃるのをよく見ていた」「あの時のあの人が江上さんなのだと改めて知った」「自宅にうかがって絵をもらったことがある」「描かれている風景のどれもこれもがよく分かる」との地元ならではのホットな反応に、ちょっぴり胸を熱くしました。
わたし(たけ)は作品解説を仰せつかったのですが、いつもながら熱が入る余りのグダグダ1時間トーク。茂雄じいちゃんもそれをみこしてか、トークが始まる直前から大雨が降り、「私は湿りけの多い人間ですから」と言っていたじいちゃんが初盆で帰ってきているんだなあ、と愉快な気持ちでした。
じつは搬入展示の日も雨、1年前の福岡ケンビでの展覧会オープンの日も雨、そして突然の旅に出られたと連絡をもらった日も雨でした。神通力?ハンパないですね。
さて、「江上茂雄 ふるさと荒尾展」はじつはまだ後半戦が残っています。おなじく荒尾の万田炭鉱館にて8月1日から24日まで。出品点数はぐっと絞り込まれますが、絵はまた違った表情を見せてくれるのかもしれません。お近くの方はぜひ足をお運びください。
万田炭鉱館
→ http://www.city.arao.lg.jp/intro/pub/detail.aspx?c_id=16&redi=ON&id=22&pg=1
でもじいちゃん、作品搬入日にはなるべく雨は降らせないでね。(たけ)
![]() |
| 熊本日日新聞 8月4日 |
![]() |
| 熊本日日新聞 8月7日 |
2014年8月3日日曜日
今日の茂雄さん(その8)
今回ご紹介するクレパス画は、そのうちの1点。去年の展覧会では3館のどこにも出品されなかったものです。そういう絵を荒尾の展示会ではわずかですが見てもらえます。
とくにこの絵は石炭工場を描いた、茂雄さんの画題には比較的珍しいもの。茂雄さん自身は大牟田の三井三池炭鉱で働きつづけましたが、荒尾も万田坑を抱える土地ですから、なつかしくご覧になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
構図のつくり方、マチエールの豊かさ、荒々しくもどこか牧歌的な雰囲気。とても茂雄さんらしい絵でもあります。
茂雄さんが退職されてから40年住み続けた荒尾の地。初盆ですからふらっと帰ってこられるかもしれませんね。(たけ)
荒尾総合文化センター
荒尾総合文化センターでの展示の後、出品数を減らして万田炭鉱館(荒尾市)でも展示会が開催されます(8/19~8/24)
2014年7月7日月曜日
2014年6月12日木曜日
今日の茂雄さん(その6)
| 507×683cm、クレヨン |
「今日も疲れたなあ」なんて思いながらぼんやり眺めていると、じんわりと染みてきた一枚。
これもまた、なんともふしぎな絵です。
まるで子どもが描いたような素朴な印象。絵肌をあまりつくりこんでいないのもその理由のひとつでしょうが、なによりもこのシンプルな構図が効いています。小高い丘を描く。しかし、なかなかこうは描けないでしょう。
しかしよく見ると、いろんなことが見えてきます。絵肌をつくりこんではいませんが、表情を細やかにつくっています。こすっているところ、線の風合いを残しているところ、そして黄緑の丘と水色の空が接するところがわずかに明るく塗りこめられています。
丘は左右対称の形をしていますが、じつは画面の中で左右対称なのは(意外に思われるかもしれませんが)この丘だけです。画面を横切る線は右下りと左下りで、丘の下方に配された茶色の形とその右下に配された紫と黄色のかたちも画面にアクセントと流れをもたらしています。そして、いつも画面のどこに白を配すべきかを考えていた江上さんらしい、白いシャツを着た人物。
シンプルな構図ながら絵が膠着せず、ゆるやかなリズムが目に心地よく届いてきます。
江上さんがこの絵でやりたかったことが何だったのかはにわかには分かりませんが、しかしこの翳りのない色彩と牧歌的な穏やかさとが観る人の気持ちを慰めてくれることは間違いありません。(たけ)
2014年6月4日水曜日
今日の茂雄さん(その5)
| 756x554㎝ クレヨン |
茂雄さんは大牟田や荒尾のさまざまな風景を描きましたが、それはなにも風光明媚な絵のモチーフを求めてのことではなく、「自分がいる場所」を絵にするためのことでした。ですので、この社宅の部屋の小さなベランダを描いた絵もまた茂雄さんにとってはれっきとした「風景画」といえるのかもしれません。
鉢植え代わりの四角い木の箱にさまざまな植物が植えられています。手前はきっと食事の足しになるようなものでしょう、奥は日々の暮らしの慰みに。茂雄さんはお花が好きな人でした。幾何学的な絵づくりのおもしろさもさることながら、この小さなベランダにしゃがみこんでいる茂雄さんの姿が目に浮かぶようで、私には愛おしい絵の一枚です。
ベゴニアの花の、ナイフでこすりつけたような赤い絵具がすこし暗い青い影の中で映え、揺れ、画家の眼をダイレクトに実感させます。(たけ)
2014年5月29日木曜日
【記事紹介】うれしい記事紹介
2014年5月23日金曜日
今日の茂雄さん(その4)
| クレヨン・水彩絵具・墨、753×566cm |
しかしそのうち、その丸のまわりに描かれた柵の具合から、これが草むらの人工池が描かれた絵だと分かります。それにしてもこの池のなんと静かで、明るいこと。
画面のほとんどを占める翡翠色をした草。そよそよと風になびいているさままでとらえた木目のような質感は、茂雄さんが意図的につくりこんだものなのか、あるいは紙の具合なのかもよく分からず、絵のモチーフとしてはたったひとつのものしか描いていないにも関わらず分からないことだらけで、目の奥に刻み付けられるふしぎな絵です。
いやむしろ本当にこれは月を描いているのかもしれない。
池の水面からあふれるような月の光と、さやかに吹き渡る風とを描いたまったき「風景」画としてあるのかもしれない。(たけ)
2014年5月7日水曜日
今日の茂雄さん(その3)
| クレパス、クレヨン、水彩絵具 565×752cm |
この低い土手は茂雄さんが一時期好んだ場所らしく、しばしば描かれています。土手の土、その土とは質感の異なる地面の土、土手と地面の境界をなす石、そして木々、向こうに抜ける緑。それらが混ざり合うさまが茂雄さんの眼をとめ、手を動かしたのでしょうか。土手を塗るクレヨンをナイフでこすりつけたり、木の幹や葉の下地に白い水彩絵具を盛り上げて質感を強調したりと、物質感をとらえようとする茂雄さんなりの実験がさまざまに見て取れます。
さらにこの絵に関しては、それらの物質を覆い、より複雑で微妙な表情をもたらしている光と影に茂雄さんの絵心が動かされているようです。右下から大きく円を描くようにして右上へとうねっていく全体の構図と、その構図に回収されることなく(しかし調和をなすように重なりながら)眼の中でカクカクと自在に動き出すそれぞれの色彩。茂雄さん自身が強調する「写実」を越えて、どこかセザンヌにも通じるような快活さをこの絵は放っています。(たけ)
2014年4月23日水曜日
今日の茂雄さん(その2)
2014年4月15日火曜日
今日の茂雄さん(その1)
登録:
投稿 (Atom)












.jpg)
.jpg)



.jpg)
